青梅市の冬の風物詩として有名なのが、新春恒例行事「青梅だるま市」。青梅駅周辺で毎年1月12日に開催されることが決まっています。
青梅だるま市は青梅の歴史を物語る伝統行事であり、商店の軒先に「だるま」の店や露店が並ぶ古い青梅の市の形を留めています。
青梅市のだるま市っていつ頃から始まって、一体どんな行事なのか?
青梅市に移住し初めて行った新春行事。めちゃくちゃ楽しかったからこそ、もっと知りたくなるではないですか!
そんなわけで、青梅に移住したばかりの私が、「青梅だるま市」のルーツを詳しく追ってみました。
青梅だるま市ってどんな行事?
青梅だるま市は現代では数少ない街道市で、JR青梅駅前の旧青梅街道沿い(住江町交差点~文化交流センター交差点)に、だるま店を含む約200店の露店がずらりと並びます。
青梅だるま市の起源は古く、文化・文政期に編まれた武蔵国の地誌「新編武蔵風土記稿」には、関ケ原の戦いの4年前である1596(文禄5)年頃とも、1441(嘉吉元年・室町時代)頃に始まったとも書かれています。
400~500年以上も続いた伝統ある市であることがわかりますね。
開かれた場所も確かなことまでは不明ですが、今の青梅の町より多摩川へ向って一段下がった千ヶ瀬町から天ヶ瀬町にかけてのどこかで行ったようです。
江戸時代初期に青梅町のまち並みが作られたときに近辺で開かれていた市が青梅に集約され、上町・中町(仲町)・下町(本町)で、月に6回(2・7・12・17・22・27日)開かれる「六斎市(ろくさいいち)」となりました。
文禄に始まり、青梅の町での織物を主とした物々交換の市である「六斎市」が、青梅だるま市の起源と言われています。
青梅の市は、正月の2日と7日は、お正月にやってくる年神様の依り代である松を飾っておく期間である「松の内」ということで市が開かれず、正月の12日に年の初めの市が開かれました。
こちらは青梅だるま市で販売していた焼き団子ですが・・(めちゃくちゃおいしかった笑)。
年の初めの市のときに、青梅周辺の産業の中心であった養蚕の繁栄を祈って「まゆ玉」と言って、米粉をまゆの形に団子にしたものを「つげの木(通称だんごの木)」にいくつもつけたものが売られていました。
そして、約180年前から縁起物として「だるま」も売られるようになったと言われています。
だるまが中心になる
昭和の中期までは製糸・織物工場の機械音が町にこだまし、多摩川では鮮やかな色の布をさらす風情が見られました。
戦後、化学繊維にその座を奪われ、養蚕という青梅の地場産業は衰退していきました。
それに伴い、昭和20年代の終わり頃より「まゆ玉」はだんだんと姿を消し、露天とともに「だるま」だけが残り、「だるま市」として年の初めの12日を青梅の風物詩として残りました。
今では「だるま」を買い求める人だけではなく、露店の風情を楽しみに大勢の人が青梅はもとより遠方からも訪れ、昔と変わらぬにぎわいを見せています。
だるま市は東へ
青梅だるま市は、青梅駅前交差点あたりから西に向って開かれます。
本町では食べ物中心の露店も仲町へと西に向かうほど飾り物などの縁起物の店が増え、上町の現在の文化交流センター付近から青梅坂下交差点あたりまでに「だるま」を販売する店が並びました。
「上りだるま」と言って、なるべく上り(京都に近いほう)で買う方が縁起が良いと言われています。
青梅街道のバイパスが文化交流センター下まで開通すると、車両を規制するためにだるま市は住江町から上町の東までの地区で行われるようになり、「だるま」も東西に分かれ売られるようになりました。
青梅だるま保存会が伝統を守る
「400年以上も続いた青梅の伝統文化を消してはならない」と、「青梅だるま市保存会」が1986(昭和61)年に商店会、自治会役員を中心として発足しました。
各地で行われる長い歴史を持つ伝統行事も、最近では土日に開かれることが多くなってきており、土日の方がたくさんの方たちに楽しんでくれると思いますよね。
「なぜ、青梅だるま市は土日に開かないのですか?」と保存会の人に聞いてみたところ、青梅だるま市は長い伝統を守っていくため、青梅の市が開かれた日の12日に曜日固定で行っているのだそう。
「駅前ではなく、永山公園グラウンドで開催でもいいのではないか?」との問いには、「昔から旧青梅街道沿いでやることが伝統になっている。駅前でやるのがだるま市だからこそ、場所は変えずに続けていきたい」とのこと。
「交通規制が行われ、住民や通過車両には迷惑になるかと思いますが、皆さまのご協力を賜りながら、青梅の市の伝統を守るべく努力し、伝統ある『青梅だるま市』を今後も長く続くように守っていきたい」と話してました。
2023年度は駅前のだるまを塗り替え、斬新な姿にリニューアル。「伝統を守ることも大切だが固執するのではなく、今後は新しいものは積極的に取り入れていきたい」ということでした。
また、役員の方たちの高齢化が進んでおり、だるま市に興味があり、お手伝いをしてもいいという方たちを募集しているそうですよ!
1月12日は青梅だるま市へ!
青梅だるま市は、住江町交差点~市民会館前交差点が午後1時から午後9時まで通行止めとなり、一般車両は通行禁止となります。
>> 青梅だるま市の交通規制は何時から何時まで?どこまでなの?住人が教えます
街道沿いは人が歩行可能となり、露店やだるまを求めて多く人が道を練り歩きます。
だるまは小さいものから持てないぐらい大きいものまで販売しており、受験生用に作られた名入れ必勝だるまやその年の干支だるまなど、さまざまなタイプのだるまがありますよ。
だるまを販売する人たちと買う人たちの声で沿道はにぎわい、焼きそばや団子、チョコバナナなど、おいしいものがたくさん並びますので、小さい子どもがいる家族連れでもたっぷり楽しめちゃうイベントです。
住江町の有志の人たちによって行う、古いだるまの「お焚き上げ」は、住吉神社の境内で午前10時に火入れ式を執り行い、古いだるまや御札のお焚き上げを行います。
一年間お世話になっただるまさんに感謝しつつ、体もぽかぽかに温めましょう~!
行かれる方は駐車場が少ないため、車ではなく電車利用がおすすめ。青梅駅で降りてすぐの場所から、だるま市が両サイドで開催されています。
「車で行きたい!」という方は、臨時駐車場がありますので参考にしてください。
>> 青梅だるま市の駐車場ってどこ?公式に開放している2つの臨時駐車場はこちら
毎年1月12日と決まっているため、平日に当たるとお仕事の方は参加できないのがネックですが、20時まで開催しておりますので、仕事帰りにでも、ぜひ行かれてみてくださいね。
青梅だるま市の詳細はこちら
- イベント名:青梅だるま市
- 開催日:1月12日
- 開催時間:13時30分~20時(交通規制は13時~21時)
- 開催場所:青梅市内の旧青梅街道(住江町交差点~市民会館前交差点)
- TEL 青梅観光案内所 0428-20-0011
- アクセス:【電車】JR青梅線「青梅駅」降りてすぐ【車】圏央道「青梅IC」降りて約10分
- 公式ホームページ: http://www.omekanko.gr.jp/
- 主催:青梅だるま市保存会
- お問い合わせ:青梅市・青梅市観光協会(0428-24-2481)